頭痛薬は毎日飲んでも大丈夫?飲み過ぎによる頭痛と鍼灸の考え方
2026/09/07
頭痛がすると、まず頭痛薬を飲む。最初はそれで楽になっていたのに、最近は「薬を飲んでもまた頭が痛くなる」「頭痛薬を飲む回数が増えてきた」という方もいます。
頭痛薬は、適切に使えばつらい頭痛を和らげる大切な選択肢です。一方で、頭痛薬を頻繁に使うことで、かえって頭痛が起こりやすくなる「薬物使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」が知られています。
この記事では、頭痛薬を毎日のように使うことの注意点、薬物使用過多による頭痛の考え方、そして鍼灸では頭痛をどのように捉えて施術するのかを、鍼灸師の視点から解説します。
先に結論
頭痛薬は「飲んではいけない薬」ではありません。ただし、頭痛のための薬を使う日が増えている場合は、薬だけで対処し続ける前に頭痛そのものを見直すことが大切です。特に月10日以上、あるいは月15日以上の薬の使用が続いている場合は、薬の種類によって薬物使用過多による頭痛が問題になる可能性があります。
頭痛薬を飲んでもまた頭痛が起こるのはなぜ?
頭痛薬を飲んで痛みが軽くなると、「今回も薬で抑えれば大丈夫」と考えやすくなります。しかし、頭痛にはさまざまなタイプがあり、薬で痛みを一時的に抑えることと、頭痛が起こりやすい状態そのものを整えることは別の問題です。
例えば片頭痛では、発作時の痛みを抑える薬が使われます。日本神経学会も、片頭痛の急性期治療ではトリプタン、比較的軽い発作ではNSAIDsやアセトアミノフェンなどが用いられると説明しています。
一方で、急性期治療薬を使いすぎると、頭痛が悪化したり慢性化したりすることがあります。これが薬物使用過多による頭痛です。
大切なのは「薬が悪い」ということではありません
頭痛薬は必要なときに適切に使うためのものです。問題になるのは、頭痛が頻繁に起こる状態に対して、薬を使う日数がどんどん増えていくことです。
頭痛薬の飲み過ぎで起こる「薬物使用過多による頭痛」とは
「薬物乱用頭痛」と呼ばれてきた状態は、現在の国際頭痛分類では「薬物使用過多による頭痛(Medication-overuse headache:MOH)」とされています。
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では、もともと頭痛の疾患がある人に、急性期の頭痛薬などを一定期間にわたって過剰に使用することで、月15日以上の頭痛が生じる状態が診断基準として定められています。
ここで重要なのは、単純に「薬を1回多く飲んだから起こる」という話ではないことです。頭痛の頻度、薬を使う日数、薬の種類、そしてそれが3か月を超えて続いているかなどを合わせて判断します。
「薬を飲むほど頭痛が増える」という悪循環
イメージすると、次のような流れです。
- 頭痛が起こる
- 頭痛薬を飲む
- 一時的に痛みが軽くなる
- また頭痛が起こる
- 頭痛薬を飲む日が増える
- さらに頭痛が頻繁になる
もちろん、頭痛薬を飲んだ人すべてにこの状態が起こるわけではありません。ただ、以前より頭痛薬を飲む回数が明らかに増えているのであれば、一度立ち止まって考える価値があります。
頭痛薬は月に何日まで?知っておきたい使用頻度
「何日なら絶対に安全」という単純な線引きではありませんが、薬物使用過多による頭痛を考えるうえで、薬の種類ごとに重要な目安があります。
| 薬の種類 | 薬物使用過多が問題になる目安 |
|---|---|
| アセトアミノフェン・NSAIDsなどの非オピオイド鎮痛薬 | 月15日以上の使用が3か月を超えて続く場合 |
| トリプタンなど | 月10日以上の使用が3か月を超えて続く場合 |
| 複合鎮痛薬など | 月10日以上の使用が3か月を超えて続く場合 |
これは「月10日未満なら必ず問題ない」「月15日未満なら必ず大丈夫」という意味ではありません。実際の診断には頭痛の頻度や経過なども関係します。
また、複数の頭痛薬を使っている場合は、それぞれの薬だけを見るのではなく、全体としてどのくらいの頻度で急性期治療薬を使っているかを確認することも重要です。
こんなときは一度見直しましょう
- 頭痛薬を飲む日が以前より増えた
- 頭痛薬を常に持ち歩くようになった
- 薬が切れると不安になる
- 頭痛が月の半分近く、またはそれ以上ある
- 以前より薬が効きにくくなったように感じる
- 「また頭痛が来るかも」と考える時間が増えた
このような場合は、自己判断で薬を増やし続けるのではなく、頭痛の種類や薬の使い方について医療機関で相談することをおすすめします。
頭痛薬を減らせば、それだけで解決するとは限りません
薬物使用過多による頭痛では、薬の使用を見直すことが重要ですが、そもそも頻繁に頭痛が起こっている原因や、もともとの片頭痛・緊張型頭痛などを評価することも大切です。
頭痛薬だけに頼る前に知っておきたい頭痛のタイプ
頭痛を考えるとき、「頭が痛い」という症状だけを見るのではなく、どのような頭痛なのかを知ることが大切です。
片頭痛
片頭痛では、ズキズキする拍動性の痛み、吐き気、光や音がつらくなるなどの症状を伴うことがあります。典型的には片側の頭痛ですが、必ず片側とは限りません。
片頭痛では発作時の治療だけでなく、頭痛の頻度が高い場合には予防療法が検討されることがあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛では、頭を締め付けられるような痛みや、首・肩周辺のこりを伴うことがあります。
長時間のデスクワーク、睡眠不足、ストレス、身体活動の少なさなどが関連することもありますが、「肩こりがあるから頭痛になっている」と単純に決めつけることはできません。
頭痛の背景を確認しながら、必要に応じて運動、睡眠、ストレスへの対策などを組み合わせることが大切です。
頭痛のタイプによって対処は変わります
同じ「頭痛」でも、片頭痛と緊張型頭痛では特徴が異なります。したがって、「頭痛ならこの薬」「頭痛なら首をほぐせばよい」という一律の考え方ではなく、頭痛の起こり方を記録して、自分のパターンを知ることが役立ちます。
頭痛に鍼灸はどう考える?
では、頭痛薬を使う回数が増えている方に、鍼灸はどのように役立つのでしょうか。
ここで大切なのは、鍼灸を「頭痛薬の代わり」と考えないことです。頭痛の原因によっては医療機関での診断や薬物療法が必要です。そのうえで、頭痛が繰り返し起こる方の身体的な負担や、頭痛に関連する首・肩の緊張などに対して、鍼灸を補完的に検討することができます。
鍼灸の研究では何が分かっている?
頭痛に対する鍼灸研究は、特に緊張型頭痛や片頭痛などを対象に行われています。
緊張型頭痛については、複数のランダム化比較試験をまとめた研究で、鍼治療によって頭痛の頻度が減少する可能性が報告されています。一方で、研究ごとのばらつきやエビデンスの質に課題もあり、「鍼灸なら必ず頭痛が改善する」と断定できる段階ではありません。
つまり、「研究がない」のではなく、効果を示唆する研究がある一方、研究の質や結果のばらつきを含めて解釈する必要があるというのが現在の整理です。
頭痛薬を減らす目的で鍼灸を受けるの?
ここも誤解しやすいところです。
鍼灸を受けたからといって、自己判断で頭痛薬を中止したり、処方薬を減らしたりすることはおすすめしません。
薬物使用過多が疑われる場合は、医師と相談しながら薬の使い方を見直すことが基本です。そのうえで鍼灸では、「薬を減らす」ことだけを目的にするのではなく、頭痛が繰り返されている背景を身体の状態から確認していきます。
Calmでは頭痛をどう見て施術するのか
頭痛で来院された場合、単純に「頭が痛いから頭に鍼をする」という考え方では施術しません。
まず、どんな頭痛なのか、いつ起こるのか、どのくらい続くのか、何をすると悪化・軽減するのかを確認します。頭痛薬を使っている場合は、薬の種類だけでなく、どのくらいの頻度で使っているのかも大切な情報です。
何を見るのか
例えば、次のような点を確認します。
- 頭痛が起こる時間帯や頻度
- 痛みの場所や性質
- 吐き気、光・音への過敏などの有無
- 首や肩の緊張
- 顎や側頭部周辺の緊張
- 睡眠時間や睡眠の質
- 仕事やスマートフォンなどによる身体的負担
- ストレスや疲労の状態
- 頭痛薬を使用する頻度
これらを確認するのは、単に「原因を探し当てる」ためではありません。頭痛が起こる条件を整理し、施術後に何が変わったのかを確認しやすくするためです。
首や肩だけを強く刺激すればよいわけではありません
頭痛に首・肩の緊張が関係しているように感じる場合でも、強く揉んだり、刺激を増やしたりすればよいとは限りません。
その日の疲労度、睡眠状態、痛みの強さなどを確認しながら、刺激量を調整します。例えば、首や肩の緊張が強い場合には、その部位の状態を確認しながら鍼やマッサージを組み合わせることがあります。
一方、頭痛が強い日や身体が疲れている日は、刺激を控えめにするなど、「同じ症状なら毎回同じ施術」ではなく、その日の状態に合わせて施術内容を調整することを重視しています。
目指すのは「その場で痛みを消す」だけではありません
頭痛の施術では、その場の痛みが軽くなることだけを追いかけるのではなく、頭痛が起こる頻度や生活への影響にも目を向けます。
「頭痛が何日あったか」「薬を何日使ったか」「睡眠はどうだったか」などを記録しておくと、施術や生活習慣の変化と頭痛との関係を振り返りやすくなります。
「頭痛薬を飲む回数が増えてきた」という方へ
頭痛薬をやめるべきか、鍼灸を受ければよいのかと一人で判断する必要はありません。
頭痛の頻度や薬を使う日数を整理すると、今の状態を考える材料になります。医療機関への相談が必要な状態ではないかも含め、まずは現在の症状を整理するところから始めてみましょう。
頭痛薬を使いながらできるセルフケア
頭痛が起こるたびに薬だけで対処するのではなく、普段から頭痛が起こりやすい条件を減らしていくことも大切です。
頭痛と薬の記録をつける
まずおすすめしたいのが、簡単な頭痛記録です。
- 頭痛が起こった日
- 痛みの強さ
- 痛みの場所や特徴
- 頭痛薬を使ったか
- 薬を使った日
- 睡眠時間
- その日の疲労やストレス
細かく書きすぎる必要はありません。続けられる範囲で記録することで、頭痛のパターンや薬の使用頻度を把握しやすくなります。
睡眠リズムを大きく崩さない
睡眠不足は頭痛の誘因になることがあります。忙しい日が続いても、就寝・起床の時間が大きく乱れないよう意識しましょう。
首や肩を長時間同じ姿勢にしない
デスクワークやスマートフォンの使用が長い場合は、一定時間ごとに姿勢を変えたり、肩や首を軽く動かしたりしましょう。
強く首を伸ばしたり、痛みを我慢してストレッチしたりする必要はありません。「気持ちよく動かせる範囲」でこまめに身体を動かすことを意識してください。
薬の使用量を自己判断で増やさない
頭痛薬が効かなくなってきたと感じても、自己判断で服用回数や量を増やすのは避けましょう。
市販薬であっても、製品ごとに成分や用法・用量が異なります。処方薬を使用している場合は、処方した医師や薬剤師に相談してください。
頭痛で医療機関を受診したほうがよいケース
頭痛のすべてを鍼灸やセルフケアで対応してよいわけではありません。
特に、突然これまで経験したことのないような激しい頭痛、意識がおかしい、手足の麻痺・脱力、ろれつが回らない、けいれん、強い発熱、繰り返す嘔吐、視覚の異常などを伴う場合は、緊急性のある病気が隠れている可能性があります。
また、頭をぶつけた後の頭痛、今までと明らかに性質が違う頭痛、徐々に悪化している頭痛なども、まず医療機関で評価を受けることが大切です。
次のような場合は、鍼灸より先に医療機関へ
- 突然発症した非常に強い頭痛
- 意識障害やけいれんがある
- 手足の麻痺・脱力、ろれつの異常がある
- 高熱や強い全身症状を伴う
- 頭を打った後に強い頭痛がある
- これまでと明らかに違う頭痛が続いている
- 頭痛が急速に悪化している
また、頭痛薬を頻繁に使っている場合も、薬物使用過多による頭痛の可能性を含めて医師に相談することをおすすめします。
まとめ
頭痛薬は、つらい頭痛を和らげるために重要な治療手段です。ただし、頭痛薬を使う日が増えている、頭痛そのものが頻繁になっているという場合は、薬だけで対処し続けないことが大切です。
薬物使用過多による頭痛は、頭痛の頻度と薬の使用状況が複雑に関係して起こります。特に月10日以上、または月15日以上の使用が3か月を超えている場合は、薬の種類によって注意が必要です。
鍼灸については、頭痛、特に緊張型頭痛などに対する研究があり、頭痛の頻度や症状の改善を示す研究もあります。一方で、研究の質や結果にはばらつきがあるため、鍼灸だけで頭痛が治ると断定することはできません。
Calmでは、頭痛そのものだけでなく、頭痛がいつ起こるのか、首・肩や顎などにどのような緊張があるのか、睡眠や疲労はどうか、頭痛薬をどのくらい使っているのかなどを確認し、その日の状態に合わせて施術内容を調整します。
「頭痛薬を飲む回数が増えてきた」という段階で、今の頭痛の状態を一度整理してみることも大切です。
頭痛薬を飲む回数が増えていませんか?
頭痛の頻度や首・肩の状態、睡眠や疲労などを確認しながら、現在の状態に合わせた施術をご提案します。
医療機関での確認が必要なケースでは、受診を優先してご案内します。
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